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研究:シンポジウム

第1回国際シンポジウム「アジア協力・統合と人材育成」

2008.01.17

概要

2008年1月17,18日の両日にわたり、本拠点の第1回国際シンポジウムを開催した。1日めは、パラレルディスカッション1では、「アジアにおける人間の安全保障―課題と展望―」と題する人間の安全保障を、パラレルディスカッション2では「アジアの地域協力・地域統合のための国際高等教育フレームワークの構築を目指して」と題するアジア国際高等教育をテーマとした。それぞれ、国際交流基金、本学国際課などの協力を得、内容的にも非常に高度なものとなった。

2日めは、「アジア協力・統合への課題・シナリオと人材育成」と題し、新ASEAN事務総長スリン・ピッツワン氏並びに、申請当初は本学教員として拠点メンバーにも名を連ねた青木保文化庁長官に基調講演をいただき、それぞれ、ASEAN、日本の視点からアジア地域協力・統合についての示唆に富む提言がなされた。アジア太平洋研究科、アジア研究機構の協力のもと321名の参加を得、うち外国人が3分の1を占めた。

1月17日(木)
パラレル・ディスカッション1 アジア人間の安全保障シンポジウム
アジアにおける人間の安全保障―課題と展望―
主催 : 早稲田大学AHC研究所設立準備委員会
協賛 : 国際交流基金
場所 : 早稲田大学国際会議場井深大記念ホール

1月17日(木)
パラレル・ディスカッション2 アジア国際高等教育シンポジウム
アジアの地域協力・地域統合のための国際高等教育フレームワークの構築を目指して
主催 : 早稲田大学国際部・文部科学省・大学教育の国際化推進プログラム「国際連携によるグローバルカレッジの構築」、早稲田大学グローバルCOE「アジア地域統合のための世界的人材育成拠点」
会場 : 早稲田大学国際会議場3F

1月18日(金)
アジア協力・統合への課題・シナリオと人材育成
主催 : 早稲田大学グローバルCOE:GIARI 私立大学学術研究高度化推進事業(オープン:2004--2008)
共催 : 早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター 早稲田大学アジア研究機構
場所 : 早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
総合司会 園田 茂人(早稲田大学教授)

開催趣旨

天児 慧
早稲田大学教授



1990年代後半から2000年代前半にかけて、アジアでは経済を中心にデファクトとしての地域協力、地域統合が大きく前進した。

しかし、制度化という点になると依然として初歩的な段階さえ整備されていない。また従来からアジアに存在していた深刻な問題(貧困、人権など)に加えて、グローバリゼーションの大きな波の中で新たに深刻化しつつある問題(環境、エネルギー、格差、感染症など)がクローズアップされてきた。そうした問題は今日「人間の安全保障」という概念・枠組みの中で、新しい解決の模索が始まっている。またハードな安全保障の分野は具体的な制度化に入る以前の段階である。日本とアジアの「歴史認識」をめぐる葛藤、中国と周辺諸国との伝統的かつ今日的な「脅威」をめぐる問題など、アジア各国間の信頼醸成をいかに高めるか、それ自体がまだ重大な課題として存在している。

アジア域内の人・モノ・情報・資金などの往来は過去の歴史に類を見ないほど活発化し、個々の人々や国々の問題がアジア全体と、さらにはグローバルに関連しあう状況が構造化してきた。国益・地域益・地球益の境界も不鮮明なもの、重層的なものになりつつある。人々の相互の理解、協力を深め、そしてアジアの地域協力――もちろん「アジア」にのみ限定されるものではないが――を真に効果的にしていくための総合的な戦略設計、制度化を進めることが、今日ほど強く求められている時代はない。

われわれは、これまで国内外で試みられてきた様々なアジア統合、アジア共同体構築をめぐる理論的研究を学び汲み取り、さらに包括的実践的な理論を創造していかなければならないと考える。しかし同時に、地域協力を担う人材、とりわけ各分野に特化された専門家でなく、上のような課題・問題に対して包括的複眼的な理解力を持ちながら、それぞれの領域における高度な専門性を同時に身に付けているような人材の育成を意識的計画的にすすめていく必要があると痛感している。

そこで本国際シンポジウムでは、こうした方面での世界的に著名な学者、実務家を招き、アジア統合の理論と人材育成に関して各分野からの構想・アイディアを思い切って提示していただき、それらをめぐって活発な議論を展開し、建設的な成果を見出していきたいと考えている。今後、本プログラムを本格的に推進していく上で、きわめて重要な意義深い会議にしていきたい。

プログラム:パラレル・ディスカッション1
アジア人間の安全保障シンポジウム
アジアにおける人間の安全保障―課題と展望―

1月17日(木)
主催 : 早稲田大学AHC研究所設立準備委員会
協賛 : 国際交流基金
場所 : 早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
  • 開場
  • 挨拶と問題提起 天児 慧
  • セッションI「人間の安全保障のアジア的枠組み」
    司会:植木(川勝) 千可子(早稲田大学准教授)
      報告者:
    • 査 道炯(北京大学教授、中国)
    • 李 信和(高麗大学教授、韓国)
    • 山影 進(東京大学教授)
  • セッションII 「持続的危機――貧困と人権」(中国、朝鮮半島、東南アジアにおける現状と課題)
    司会:勝間 靖(早稲田大学准教授)
      報告者:
    • 呉 青(北京市人民代表大会代表、中国)
    • ソー・チャンロック(高麗大学教授、韓国)
    • スダルノ・スマルト(SMERU研究所、インドネシア)
  • セッションIII 「新型危機――感染症、環境とテロ」
    司会:青山 瑠妙(早稲田大学教授)
      報告者:
    • 赤羽 恒雄(モントレー国際大学東アジア研究所所長、米国)
    • 工藤 宏一郎(国立国際医療センター・国際疾病センター長)
    • 松岡 俊二(早稲田大学教授)
Program/CV/Summaries(20080117)[2131KB]PDF File
Papers/PPT Files(20080117)[9889KB]PDF File

プログラム:パラレル・ディスカッション2
アジア国際高等教育シンポジウム
アジアの地域協力・地域統合のための国際高等教育フレームワークの構築を目指して

1月17日(木)
主催 : 早稲田大学国際部・文部科学省・大学教育の国際化推進プログラム「国際連携によるグローバルカレッジの構築」、早稲田大学グローバルCOE「アジア地域統合のための世界的人材育成拠点」
会場 : 早稲田大学国際会議場3F
  • 開場
  • 開会挨拶 内田 勝一(早稲田大学国際化担当常任理事)
  • 問題提起 黒田 一雄(早稲田大学教授)
  • セッション I「高等教育における国際化と地域化と動向」
    司会:二宮 皓(広島大学副学長)
      報告者:
    • セザール・デ・プラード・イエーペス(サラマンカ大学教授、スペイン)
    • モルシディ・シラット(国立高等教育研究所所長、マレーシア)
    • アンソニー・ウェルチ(シドニー大学教授、オーストラリア)
    • 杉村 美紀(上智大学准教授)
  • セッション II「アジアにおける国際高等教育フレームワークの展開」
    司会:杉村 美紀(上智大学准教授)
      報告者:
    • スパチャイ・ヤヴァプラバース(東南アジア文部大臣機構高等教育開発センター所長、タイ)
    • ピニティ・ラタナヌクン(ASEAN大学ネットワーク代表、タイ)
    • サイナル・アビディン・サヌ−シ(マレーシア科学大学「持続可能な開発のための教育」地域センター代表、マレーシア)
  • セッション III「高等教育の国際化・地域化へのアジア主要大学の対応」
    司会: 園田 茂人(早稲田大学教授)
      報告者:
    • 馬 万華 (北京大学教授、中国)
    • キソク・キム(ソウル国立大学教授、韓国)
    • グエン・チュス・アン(ベトナム国立大学ハノイ校講師、ベトナム)
    • 早稲田大学国際部
  • 最終セッション「教育と実践への将来展望」
    司会:黒田 一雄(早稲田大学教授)
      特別指定討論者:
    • カイ・ミン・チェン(香港大学教授、中国)
Summary Resume

プログラム:
アジア協力・統合への課題・シナリオと人材育成

1月18日(金)
総合司会 園田 茂人(早稲田大学教授)
主催 : 早稲田大学グローバルCOE:GIARI 私立大学学術研究高度化推進事業(オープン:2004--2008)
共催 : 早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター 早稲田大学アジア研究機構
場所 : 早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
  • 開場
  • 早稲田大学総長挨拶 白井 克彦
  • 拠点リーダー挨拶 天児 慧 「本プロジェクトの基本構想と問題提起」
  • 特別講演
    • スリン・ピッツワン(ASEAN新事務総長)
      「地域協力・統合:ASEANからの視点」
    • 青木 保(文化庁長官)
      「地域協力・統合:日本からの視点」
  • セッションIV「アジア統合のシナリオ―― 政治・経済・文化のアプローチ」
    司会:浦田 秀次郎(早稲田大学教授)
      報告者:
    • アミタフ・アチャリヤ(ブリストル大学教授、英国)
    • 王 逸舟(中国社会科学院世界経済与政治研究所教授、中国)
    • カイ・ミン・チェン(香港大学教授、中国)
    • テレソ・トゥラオ (デラサール大学教授、フィリピン)
  • セッションV 「ボトムアップ・アプローチからの統合論」
    司会:多賀 秀敏(早稲田大学教授)
      討論者:
    • キム・ベン・ファー(早稲田大学アジア研究機構客員研究員)
    • 李 起豪(聖公会大学研究教授、韓国)
    • 村井 吉敬(上智大学教授)
    • チャンタナ・ウンガエオ (チュラロンコン大学准教授、タイ)
  • 総括と閉会の挨拶  天児 慧
  • 懇親会 国際会議場3階第1会議室
Program/CV/Summary(20080118)[1129KB]PDF File
Papers/PPT Files(20080118)[7028KB]PDF File

写真等


報告書


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