人材育成成果

経済統合とサステイナビリティ

人材育成:支援スキーム:調査研究支援スキーム(学生)

三浦 秀之 / 調査地域: ベトナム(ハノイ・JSA-ASEAN報告)、タイ、インドネシア

2009.10.21

所属 アジア太平洋研究科
学年 博士後期課程2年
氏名 三浦秀之
日程 2009年10月21日〜2009年10月29日

渡航地(国・都市名)

ベトナム・ハノイ
タイ・バンコク
インドネシア・ジャカルタ

リサーチ目的

今回の調査研究活動は、国際会議での発表、また現地調査および情報収集することを目的とする。具体的には以下のとおりである。

  1. ベトナム・ハノイにおいて、Second International Conference of the JSA-ASEAN主催による国際会議において発表および議論を行う。
  2. タイ・バンコクにおいて、日タイ経済連携協定の交渉に携わった担当官にインタビューを行い、交渉過程を分析するために必要な情報のヒヤリングを行う。
  3. インドネシア・ジャカルタにおいて、日ASEAN経済連携協定の交渉に携わった担当簡易インタビューを行い、交渉過程を分析するために必要な情報のヒヤリングを行う。


研究課題

日本のコメを中心とする農産物貿易自由化交渉を対象に、どのような政策交渉過程が展開されたのかを明らかにすることを研究の目的としている。農産物の貿易自由者交渉では農林水産省、農水族、JAのようなアクターが代表するように、各主体の利益が複雑に絡み合い国際交渉の事前の段階の国内交渉を複雑化させている。これは日本のみならず、交渉の相手国に対しても当てはまるものであると考えられる。

本研究では、その関係性が国内・国際交渉レベルでどのように作用しているのかを、パットナムの2レベルゲームモデルを用いて考察する。ここでは事例として、これまで我が国が交渉を行ってきた日タイ経済連携協定および日ASEAN経済連携協定の交渉過程を取り上げ、マクロ的及びミクロ的視座で日本がなぜコメを保護し、またどのような手法で国内のみならず国際交渉でもコメにおける日本の立場を堅持しつづけてきたのかを分析する。

しかし本研究を遂行するにあたり、日本の立場ならず、日本と交渉を行う相手側の交渉過程を分析することが重要である。まず日本が行ってきた交渉における戦略・先述が相手側に対してどのような影響をあたえたのか、そしてなぜコメに対して相手側が譲歩をせざるを得なかったのか、またそれに変わる相手側の狙いは何であったのか、その要因を明らかにすることが本研究の課題である。そのため、日本の交渉担当官のみならず、相手国側の関係者からヒアリングをすることが重要である。



成果

本調査研究活動においては、ベトナム・ハノイで開催された国際会議Second International Conference of the JSA-ASEANでの発表、またタイ・バンコクおよびインドネシア・ジャカルタにおいては経済連携協定交渉に関わった関係者からヒヤリングや情報収集を行った。本研究を通じて得られた成果は以下のようにまとめられる。

  1. ハノイでは、Second International Conference of the JSA-ASEANにおいて、A Two-Level Game Analysis of the Japan-Thailand EPA: The Policy Making and Negotiation Process of the Rice Market Liberalizationというタイトルで発表を行った。多くのASEAN各国や日本の研究者の方々と知り合うことが出来たのみならず、大変有益なコメントをいただいた。日本のFTAを政治学的手法で研究するフィリピンの研究者の方から、交渉過程を分析するにあたり日本のみならず、相手国側がどのように考え、日本の戦略に対して相手の方針がどう変化し、また相手はその変化に対してどのようなメリットを日本側に求めるのか、そのダイナミズムを考慮して分析することが重要であるというコメントをいただいた。
  2. タイ・バンコクにおける調査では、タイ外務省を訪問し2007年に締結した日タイEPAの交渉過程について、日タイEPA交渉におけるタイ側の交渉担当者にインタビュー調査を行う予定であった。しかし、インタビュー予定者が、その週末に開催されていたASEANサミットから戻ることが出来ておらず、直接インタビューをすることが出来なかった。しかしながら、他のタイ外務省の方の暖かな心遣いにより、交渉過程をまとめた資料ならびに論文をいただくことができた。今後は今回考慮の対象にしていなかったタイの農業団体(タイ農協)にもヒヤリングを行いたいと考えている。
  3. インドネシアにおける調査では、ジャカルタにあるASEAN事務局を訪れ、2007年に締結した日ASEAN経済連携協定の交渉過程にについて、ASEAN事務局の交渉担当者にヒヤリング調査を行った。お忙しい中、交渉担当者の方から2時間あまりの時間を割いていただき、日ASEAN経済連携協定の交渉過程と交渉の際の問題点および戦略について詳細に語っていただいた。このインタビューにより、日ASEAN経済連携協定の交渉におけるASEAN側の論点を明らかにすることができ、今後研究を展開するために大変有意義な情報を得ることができたと考える。また、その週末にタイで開かれていたASEANサミットに出席されていたことから、今後のASEANとしての方向性についてもお聞きすることができた。


事業推進担当者


報告書


写真



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